中心に坐る感覚

中心に坐る

坐る時に左右に身体を傾けてみてください。足を組んだまま右に身体を傾けて重力を感じる。そして、左にも身体を傾けて重力を感じる。続いて前後にも身体を傾けて重力を感じてみる。この時に左でも右でもなく、前でも後ろでもない中心を意識します。

 

坐ることに慣れてくれば、中心にあるという感覚は掴めるようになります。なぜなら、重力を感じないポイントがあり、そこが中心だからです。地球には重力がありますから、頭で考えると重力を感じないとはおかしなことのように思えます。

 

しかし、実際に重力を感じないポイントはあります。重力から解放されて浮き上がってくる身体を結跏趺坐を組んだ両足で抑えているような感覚。中心に坐る感覚に触れることがあれば、この感覚はあらゆることへと拡がりをみせます。

 

たとえば、人の心もそうです。人の心はころころと移り変わります。幸せに傾いたり、不幸に傾いたり。好きに傾いたり、嫌いに傾いたり。パートナーシップであれば相手を満たそうとすること。つまり為すことに傾いたりします。反対にわがまま放題となり、相手を通じて自分の欲求を満たそうと、為されることへと傾くこともあります。

 

相手を満たすでもなく、かといって自分を満たすでもない。どちらでもない中心。中心に坐る感覚を身体が覚えていれば、身体的な傾きだけでなく、心理的な傾きまで察知します。

 

いまこの瞬間に自分の心が極端に傾いているなぁと、ズレていることに気付けている人はバランスを崩すことがなく、心理的な安定がもたらされます。